鍵の形はいろいろあります。
でも10年前にイギリスに行くまでは鍵自体や鍵の形、鍵から感じ取れる時代の風景などを感じる事もりませんでした。
それは常に作り変えられる日本の技術や文化に反映されていると思います。
今となっては古い鍵をコレクションにして持ちあるいたり、部屋に飾ったりと鍵に注目が集まりました。
古い鍵のほとんどが海外はおもにヨーロッパではないかと思われます。
テレビでも役者が部屋に入る時はそういうアンティークの鍵を持っているほうが、おしゃれに見えます。
黒い、やや大き目の鍵です。
まあ、今の時代、日本で普通に使っている家庭はまずないと思いますが。
でも、ヨーロッパでは今でも一般的に使われているのです。
私が住んでいたイギリスのアパートもあのアンティークの鍵が普段使いされているのです。
私がそこに移り住んだのはもう15年も前の事。
私が始めて不動産屋からその鍵を受け取った時その魅力にはまりました。
重さといえもちづらさ、ジーンズのポケットに入れればかさばるし。
難点はいろいろとありましたが、私はそのアンティークの鍵が好きでした。
私はその古いアパート自体が大好きでその鍵を使える事に毎日が幸せでした。
まるで自分がアーティストになったみたいに、絵など描き始めてみたり。
あの部屋とあの鍵がそしてあの町が私をそうさせたのでしょう。
私は絵を描いたり芸術に触れたりは日本に居た時にはなかったです。
毎日仕事、長い労働時間。
私が旅に出たいと思い、ヨーロッパに一人旅を始めました。
日本から離れて、自分探しの旅。
何もかも捨てて。
もう戻らない覚悟でした。
一番初めの放浪先の部屋があのアパートでした。
そこには2年ほど住んでいましたが、部屋をでる時、とても寂しかったです。
アパートを出る時アパートにありがとうと頭を下げました。
笑える話ですが、その時はその時でそういう気持ちだったのでしょう。
そしてその鍵ともお別れ。
今は日本でもその鍵を見る事が出来て懐かしさがこみあげます。